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コードギアス 反逆のルルーシュ 新シリーズコードギアス 反逆のルルーシュ R2 コードギアス 反逆のルルーシュ ストーリー コードギアス 反逆のルルーシュ キャラクター紹介 超大国ブリタニア帝国により占領された「日本」。 揺らぐことがないかのように見える超大国の支配。 だが、そこにわずかな亀裂が生まれようとしている。 「黒の皇子」、ルルーシュ。「白の騎士」、枢木スザク。 二人の歩みはブリタニア帝国と「イレヴン」の関係を大きく揺り動かすことになる。 極東の「エリア11」で「何か」が今まさに起きようとしている…… 公式サイト省略 コードギアス 反逆のルルーシュプレイリスト 【Youkuリスト】 下のリンクは切れているのがあるので上のリンクをお使いください 25話「ゼロ」24話「崩落のステージ」 dailymotion 「1/3」 「2/3」 「3/3」 23話「せめて哀しみとともに」 dailymotion 「1/2」 「2/2」 22話「血染めのユフィ」 daum 21話「学園祭宣言!」 dailymotion 「1/2」 「2/2」 20話「キュウシュウ 戦役」 Dailymotion 19話「神 の 島」 Dailymotion 18話「枢木スザクに命じる dailymotion 17.5話「仮面の真実」 17話「騎士」 Veoh | Pandora 16話「囚われのナナリー」 Veoh 15話「喝采のマオ」 Pandora | Veoh 14話「ギアス対ギアス」 Veoh 13話「シャーリーと銃口」 Mofile | Pandora 12話「キョウトからの使者」 Veoh | Pandora 11話「ナリタ攻防戦」 Veoh 10話「紅蓮舞う」 「Veoh」 | 「daum」 9話「リフレイン」 「Daum」 | 「Veoh」 8.5話「仮面の軌跡」 8話「黒の騎士団」 「Veoh」 7話「コーネリアを撃て」 「Veoh」 6話「奪われた仮面」 「Veoh」 5話「皇女と魔女」 「Veoh」 4話「その名はゼロ 」 「Veoh」 3話「偽りのクラスメイト」 「Veoh」 2話「覚醒の白き騎士」 「Veoh」 1話「魔神が生まれた日」 「Veoh」? コードギアス 反逆゛マンガ日和 part1~4 コードギアスのギャグMAD ギアスは管理人の大好きなアニメです!!続編が楽しみです。でもなぜ日曜の5時からなんだ~~~~~ 感想・リンク切れなどネタバレしないようにお願いします。 カレン -- ルルーシュブルタニア (2009-08-09 15 28 48) 名前 コメント - -
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true tears SS第十六弾 第十二話の妄想 前編 「きれいよ、あなたの涙」「何も見てない私の瞳から…」 「キスしてもいいか?」 第十二話の予告と映像を踏まえたささやかな登場人物たちの遣り取りです。 妄想重視なので、まったく正誤は気にしておりませんが、 本編と一致する場合もあるかもしれません。 本編に出て来た伏線を回収してみたいなと思います。 石動純は登場しますが、乃絵にキス発言をします。 明るい展開を心掛けているので、良識のある登場人物ばかりになりました。 最後に今回の絵本である『雷轟丸と地べたの物語』の解釈を記述しておきました。 眞一郎は乃絵を見つける。 いつも『雷轟丸と地べたの物語』という絵本を読んでもらっている岬であり、 乃絵に別れの言葉のようなものがあった場所だ。 『あなたが飛ぶところはここじゃない』 眞一郎は乃絵に近づく。 「乃絵」 眞一郎の声に振り返ってくれる。 懐には地べたがいて、首を動かしている。 「絵本を読んで欲しい。 一応は完成したから」 眞一郎はスケッチブックを両手で手渡す。 乃絵は受け取って、声を出して読む。 「次の日は雨でした。 横で地べたが羽をバタバタと羽ばたかせていましたが、 雷轟丸は悠然としていました。 何と十メートルの丘の上に朝日を背に向けた地べたのシルエットが、 すくっと立っているではありませんか。 鶏としての最初の飛翔、その失敗による最初の栄光は地べたのものでした。 雷轟丸はただ臆病な鶏たちの中のただの一羽に過ぎませんでした。 おわり」 乃絵は深く刻むように両目を閉じている。 「これが眞一郎の答えなのね」 神妙な顔で見つめてくる。 「まだ決まっていないが、今の俺にはここまでしか書けない」 「そう。ようやく絵本が現在に追いついたのかもしれないわ」 絵本を地面に降ろしてから、乃絵は海の方を向いて地べたを掲げる。 「地べた、飛んで見せて、眞一郎に新しい展開を浮かばせるために」 乃絵は天空に向けて生贄を捧げるようだ。 眞一郎はその姿にいたたまれなくなり、乃絵にしがみ付く。 「そこまでしなくていいんだ。乃絵を追い詰めたのは俺のせいだ」 夢中で乃絵を抑えようとする。 眞一郎は乃絵がここまで悩み苦しんでいるとは思っていなかった。 乃絵と会わないでいられないことがわかっているからこそ絵本を完成させようとしていた。 全部ちゃんとするからと、比呂美に誓ってからでもだ。 乃絵は振り返って、地べたを降ろしてから眞一郎に言う。 「きれいよ、あなたの涙」 乃絵は小瓶を出してから、眞一郎の右目の涙を右の人差し指で拭う。 「大切な人とは俺のことなのか……?」 乃絵に何もしてあげられていない自分が選ばれるとは思っていなかった。 「そうね。でも泣けないわ、私」 まだ不満げな眼差しをしている。 「どうすれば泣けるようになるのだろうな」 泣けなくなった天使にすがってみた。 眞一郎の絵本から出てきたような乃絵に救いを求めた。 「何も見ていない私の瞳から…」 乃絵は心の底から震える声を発した。 通常の会話では用いられないような詩的な表現だ。 何も見ていないとは、いつもは何かを見ていた。 眞一郎と付き合っているので、見ていたのは眞一郎。 それなのに見ようとしないならば……。 もしかして見たくはないものかもしれない。 乃絵が目を逸らしたくなるものといえば……。 「比呂美……」 眞一郎はふと洩らしてみた。 「雷轟丸は眞一郎で、地べたは湯浅比呂美。 私は地べたになろうとしていたわ。 温めてあげたり餌をあげたりしてね。 そうすることで眞一郎の心の中に入って、絵本の中の地べたが私になるかもと思って」 乃絵の独白は淡々としていて、いつもの絵本を読んでいるようだった。 「俺は比呂美のことを描いていたのか?」 眞一郎は絵本をめくってみる。 ざっと目を通しただけでも、乃絵の解釈が一致することがわかった。 「私はふたりのことを詳しく知らないわ。 でも地べたが飛翔したがっているのはわかる。 友達のいない私でも、湯浅比呂美が仲上家を出て一人暮らしをしていることをね。 雷轟丸はまだ飛ぶのを諦めてしまってる」 神託を与えるように澄んでいて、眞一郎の身体を覆ってくれている。 「そんな絵本を乃絵に見せていた……」 眞一郎は暗い話ばかりを描いていたので、いつか明るいものを描きたかった。 二羽の鶏ならば明るく導いてくれるかもしれないと想いを込めていた。 もう一冊の絵本でも乃絵の発言の影響を受けてはいるが、 「雪の海」という比呂美の言葉から新展開をされつつある。 「楽しい日々だったわ。私と親しくしてくれたのは眞一郎だけだったから。 さっきまで飛ぼうと考えていたけど、やめるわ」 乃絵は地べたを捕まえて懐に戻した。 乃絵の飛ぶという意味を訊こうとは思ったがやめた。 不吉な予感が脳裏をかすめたからだ。 「俺のすべきことがわかった」 乃絵のところではなく、比呂美のところへ飛んで行きたい。 「帰りましょう。地べたを戻してあげないと。 迷惑を掛けてごめんなさい」 乃絵は深々と頭を下げた。 「俺が乃絵を放っていたから」 乃絵の態度が意外ではあった。 何かいつもと雰囲気が異なっていて、大人になったようだ。 無邪気な笑みが無くなったようで寂しくはある。 「少し泣けそうな気がしてきたわ」 宙を見つめる目に涙は浮かんでいない。 * 乃絵は地べたを侘びながら鶏小屋に戻した。 眞一郎と石動家に向っている。 「明日は祭りだ。乃絵も来てくれよな」 眞一郎は急に話題を振ってきた。 「行ってもいいの?」 もう別れたようなものなのに誘ってくれている。 比呂美のところに行ってから、戻って来ることはなさそうだと覚悟していた。 「せっかく今まで麦端踊りを練習してきたんだ。 乃絵にも見てもらいたい」 すがすがしくて吹っ切れたような笑顔。 あれだけうまく踊れていたのだから自信があるのだろう。 「行くよ、絶対に」 落ち込んでいた気持ちが薄らいでゆく。 家の前では純がいて待っているようだ。 先に眞一郎の携帯電話で乃絵が連絡しておいたからだ。 「すまない。乃絵がお世話になった」 深々と丁重に頭を下げていた。 「俺にも責任があるから」 「私がすべて悪いの」 乃絵はふたりの罪をなくしてあげたかった。 湯浅比呂美の真似をするかのように逃げ出してしまった。 そうすれば何かが変わるような気がしていた。 だが手ごたえはなく、地べたである比呂美のように飛翔しても墜落するだけだった。 「乃絵、何かいつもと違う気がする」 「そんなことはないよ」 「俺も変わったと思う。乃絵はだんだんと会うたびに違ってた」 純だけでなく眞一郎まで変化を評価していた。 乃絵自身にはよくわからないが、否定をしようとはしなかった。 「湯浅比呂美に別れを告げられている。後はそちらで好きにすればいい」 純の突然の告白に、眞一郎は口を開けてしまった。 「交流戦でコートに入って悪質なファールを比呂美にしていた蛍川の選手を、 叱っていたのは比呂美のためではなかったのかよ」 眞一郎が比呂美に訊こうとしていて、眞一郎の部屋の前ですれ違ってしまった。 「あいつのためでもあるが、振られたのはその後だ。 ああいうプレイは根っから嫌いでね、麦端との関係を悪くする」 純は口元を歪めていたのはプレイ内容に対してのようだ。 比呂美に振られた悔しさがあまり感じられない。 「そろそろ帰る。比呂美には俺が連絡する」 眞一郎が背を向けて去って行くのを、見えなくなるまでふたりは佇む。 「乃絵は抱き付いて来なくなったな」 純は素朴な感想を洩らした。 「そうね」 あのバイク事故のときは、抱擁していた。 近くでは眞一郎と比呂美とがだ。 「キスしてもいいか?」 純の言葉は冗談のように軽い 「やめておくわ」 昔ならしていたかもしれないが、今になってしようとは思えない。 「そうだよな……」 純は家の中に入って行く。 乃絵はその姿を目で追う。 * まだ眞一郎は比呂美に連絡をしていない。 どうすればいいか悩んでいる。 乃絵の家出を携帯で知らせてくれたときの比呂美の声は、霞んでいるようだった。 寝起きではなく、儚げで消えてゆきそうな雰囲気があった。 乃絵のほうが生気に満ちていたように思える。 いつもの笑顔になるような対処を考えねばならない。 眞一郎は仲上家の門をくぐる。 自転車置き場に向かい、ニット帽とマフラーをはずす。 右手で運転して、左手には『雷轟丸と地べたの物語』のスケッチブックを抱える。 不安定ではあるが、籠がない自転車では仕方がない。 このまま比呂美のアパートに行こう。 仲上家を出ると、長い坂がある。 速度を出さずにいるが、身体は上下してしまう。 立ち漕ぎはせずに、座っていてもだ。 スケッチブックを落としたくないし、比呂美を乗せたトラックを追ったときのように、 こけたくはない。 『全部、ちゃんとするから』 比呂美に誓った言葉がむなしく頭の中でこだまする。 あれから一週間も経過しても、何もできていないに等しい。 乃絵と会ったのはさっきのが初めてだった。 絵本が完成するまで先延ばしにするのを言い訳にしていた。 さらに別れの言葉は乃絵からで、絵本の本質を見抜かれていた。 比呂美のところへ行くようにも告げられたのも同然だ。 純に対しては比呂美が付き合っていても、 交換条件をこちらから解除を要求するつもりだった。 それなのに純のほうから比呂美を任されてしまった。 コートに入ってまで比呂美を守ろうとした純を見ていられなくて、 眞一郎は背を向けてしまった。 今後は純と対立してでも比呂美を振り向かせようと考えていた。 だが戦う準備をする前に、純のほうから撤退されてしまった。 比呂美に対しては眞一郎の理解を超えているとしか言いようがない。 一週間も経過してから比呂美のアパートを訪れた。 ベーコンエッグを食べてから、冬の海を見たいという比呂美を追い駆けた。 眞一郎が鍵を掛けることで合鍵が手元に残った。 そういう策略をしてくるとは思いもよらなかった。 海岸では比呂美がメガネを外していて、瞳を見ていた。 それから比呂美が近づいて来てキスをした。 お互いが初めてであっても、舌が絡み合った。 眞一郎母と父には、比呂美との交際を認めているかのごとく、 比呂美のことについて訊かれている。 三人での食事であっても口数が増えている。 昨年よりも酒の売り上げが良いようで上機嫌でもあるのだろう。 「すべて、俺が何もせずに与えられたものばかりだ」 ふがいない自分を見つめ直す。 感情的にはならずに冷静にだ。 比呂美のアパートに到着する。 * 比呂美は眠れない夜を過ごしている。 布団の上にいると塞ぎ込んでしまいそうなので、ロフトから降りる。 気分転換にお湯を沸かせて紅茶を飲むことにする。 マグカップを手にテーブルに行って座る。 比呂美が乃絵の家出を電話したときに、眞一郎はすぐに乃絵を探しに行った。 心優しい眞一郎の行為を認めつつも、誰にでも同じことをするのではないかと考えてしまう。 比呂美が逃避行でバイク事故が遭ったときのように、眞一郎は乃絵を抱擁するかもしれない。 嫌な予感ばかりが頭に浮かんでくる。 眞一郎母に言われて、比呂美は眞一郎の部屋に着替えを運んだ。 机の上には『雷轟丸と地べたの物語』という題の絵本があった。 あれはきっと乃絵のための絵本。 比呂美には一枚の絵だけ。 涙を拭いたいという台詞と髪の長い女性の姿から、私かもと思っているだけかもしれない。 乃絵の家出で電話したときにも、絵本を描いていたらしい。 『雷轟丸と地べたの物語』のことを訊こうとしたけれど、かすれてしまった。 「羨ましいな……」 乃絵と比呂美との格差を感じる。 比呂美は幼い頃の思い出から十年以上なのに、乃絵は四ヶ月くらいだと思う。 三十倍もの年月があっても、絵本にされる量は影響されない。 比呂美と眞一郎には夏祭りと進展しなかった仲上家での生活しかなかった。 携帯の画面にいる眞一郎の顔を見る。 今から掛けてみようかと悩む。 もう、何度もしてきた行為。 ふたりの邪魔でもしてみようかと考えてしまう。 最近は眞一郎と親しくなれた反動で嫉妬深くなっている。 もしかして連絡すらもないかもしれない。 たとえ純からであっても欲しい。 着信音が鳴ると、画面には仲上眞一郎と表示される 『比呂美、寝てたか?』 穏やかな気配りのある声。 『まだ寝ていないわ』 『話があるから、部屋に入っていいか?』 眞一郎には合鍵を渡している。 『入れるものならね』 比呂美から電話を切る。 部屋を見回して危ないものを隠す。 特に干したままの下着を仕舞い込む。 ドアを開ける音がするが、眞一郎は何も言わない。 比呂美はドアの前に行って隙間から、眞一郎の顔を覗く。 「チェーンロックをしているんだな。防犯のためだから賛成だ」 「一人暮らしは物騒だって眞一郎くんも言っていたし」 比呂美はにこやかに応じた。 「明日は祭りだから、すぐに帰る。開けて欲しい」 畏まった態度で迫ってくる。 「ちょっと待ってね」 比呂美はドアを閉めてから、チェーンロックをはずして開けてあげる。 「ありがとう」 眞一郎を部屋の中に導いてあげる。 「何か温かい飲み物を用意するわね」 「紅茶がいいな」 眞一郎はテーブルに乗っているマグカップを見ていた。 比呂美はキッチンに行って、お湯を沸かし直す。 マグカップを手にしてテーブルに着く。 「気分が落ち着いてきた」 眞一郎は冬の寒さから開放されたようだ。 眞一郎はコートも脱がずにいる。 あの『雷轟丸と地べたの物語』をテーブルの上に乗せている。 比呂美は一瞬だけ忌々しげに見つめてしまった。 「部屋に入ったときに見られたかもしれないな」 ばつが悪そうに問うた。 「気づいていたわ、中は見ていないけど」 眞一郎の足音がしたので、我に返ってしまった。 もう少し時間があればどうしていたかはわからない。 「できれば読んで欲しい」 真摯な眼差しで眞一郎は両手で手渡そうとする。 「先に石動乃絵と何があったか教えて欲しいわ」 『雷轟丸と地べたの物語』は乃絵のための絵本であるはずだ。 そんなものを比呂美に見せる眞一郎の意図がわからない。 「俺の希望だから、先に報告してもいい。でも報告なら後でもできるし」 絵本も後で読むこともできそうだが、比呂美は受け取ってスケッチブックを開く。 躍動感のある雷轟丸と地べたがいる。 本当に細かく背景までも描かれていて、心を奪われてしまう。 ラストシーンは地べたが墜落してしまうというBADEND。 何て感想を伝えればいいか迷ってしまう。 鶏だから飛ぶのは難しいのか? 絵本であっても現実を受け入れなければならないか? 乃絵はどういう印象を抱いたのだろう。 そもそも普通の感想を求めているのではない。 何か別の意味が含まれているからこそ、先に見せようとしていたはずだ。 眞一郎が身の回りのものを描こうとするのは、比呂美の一枚絵からわかる。 雷轟丸と地べたは鶏であるから物語の展開には、何らかの影響を受けるはずだ。 そう考えると雷轟丸は眞一郎なのだろう。 地べたは誰なんだろう。 乃絵なら比呂美に見せようとはしないはず。 比呂美との決別のために故意ならありえるが、眞一郎の表情からはありえない。 さっきからずっと比呂美の顔色を窺っている。 「地べたは私なのかな? 飛翔はしているけど、失敗しているようなところが」 思い当たるところはある。 引越しはしたものの、眞一郎との関係は比呂美だけが盛り上がっているようなものだ。 合鍵を渡すし、キスも強引と判断されるかもしれない。 「一回目だから、それに続きは書くつもりだ。 俺もさっき乃絵に思い知らされた。 乃絵は地べたになりたがっていたようだけど、俺は比呂美としてしか描けていなかった」 本当に描いているときは自覚がなかったのだろう。 作家よりも読者のほうが作品の本質を理解できる場合がある。 あの乃絵なら友達になりたいという比呂美の嘘を見抜いたからありうる。 「私も続きが読みたいわ。 このままだと雷轟丸も地べたも他の鶏も救われないから」 結末は無理に飛ぼうとしなくてもいい。 みんなが仲良く暮らせれば。 「祭りで何かを悟れれば描けると思う。 それと比呂美はあいつと別れたようだな。 さっき教えられた」 やはり純は乃絵を選んだようだ。 これで交換条件はなくなり、比呂美は自由になった。 眞一郎の言葉からでも乃絵とはうまくいかなかったようだ。 眞一郎が乃絵ときれいに別れられるとは、比呂美は思っていなった。 長引きそうならば、交換条件を乃絵に明かして、ふたりの仲を悪化させようと考えていた。 「私から伝えたわ。 なかなか聞き入れてもらえなかったけど」 「比呂美はうまくできたようだな」 眞一郎はマグカップに口を付ける。 「どういう意味?」 「乃絵とははっきりとした別れの言葉はなかった。 家出をした後だから、さらに追い込むことはできないし……」 苦渋を滲ませる眞一郎の気持ちはよくわかる。 明確に別れの言葉を告げられる状況ではなかったのだろう。 「眞一郎くんもちゃんとできていると思う。 絵本だってしっかりと描けているし」 眞一郎を励ましてあげたいといつも比呂美は考えていた。 あのキスも眞一郎が花形として立派にこなせるのを応援するためでもあった。 乃絵の影がちらついていても、踊りだけはしっかりとこなして欲しい。 「明日のをがんばろう」 「もう今日だけどね」 時計を見ると日付が変わっている。 「そろそろ帰る」 眞一郎は紅茶を一気に飲み干した。 それから絵本に手を置いた。 「この絵本を置いといて欲しいの。 もう一度、読んでみたいし、朝に返すから」 両手を合わせて願う。 こんな行為は今までにしたことがなかった。 漫画に出てくるようなもので、比呂美にとってはありえない動作だ。 「片手で運転するのは面倒だった。 でもこれから酒瓶を自転車で届けたりするかもしれない」 即座に了承してくれていた。 「お手伝いをする気なの?」 「花形として踊っただけで、世間は俺のことを仲上家の人間として認めてくれない。 手伝いくらいはしようと思う。 比呂美だってしているわけだし」 眞一郎の心境の変化に比呂美は反応できずにいた。 比呂美が帳簿を片手にお届け先を教える。 それを受けて眞一郎が運ぶ。 たまには一緒に届けて帰りに買い物をできればいい。 「いいかもしれない」 「比呂美に教わることが多そうだ」 「おばさんに仕込まれているから、私は」 自慢げに微笑んであげる。 以前ならあまりしたくはなくて、わざと帳簿のキータッチを遅らせていたときもあった。 「話が長くなりそうだから、帰る」 眞一郎は起き上がると、比呂美も同様にする。 「絵本は眞一郎くんの部屋に届けるから」 「俺は花形の衣装を着ていそうだ」 当日、眞一郎はまだ比呂美がどういう服装でいるのかを知らない。 眞一郎と玄関で別れることになる。 「おやすみ、比呂美」 「転ばないでね、眞一郎くん」 眞一郎は顔を歪めている。 「一生、言われそうだな」 「うん」 元気良く返事をしてあげた。 「比呂美も転んだように見えたが」 「そんなことはないわ」 比呂美の否定はむなしく響いた。 「言い忘れていたけど、比呂美が電話をくれたときに絵本を描いていたのは別なものだから」 「そうなの?」 「詳しくは今度にする」 眞一郎は扉を開けて、右手を振ると比呂美も応じる。 深夜なのでお互いに声を出さない。 それから眞一郎はゆっくりと扉を閉める。 比呂美はテーブルに戻って、もう一度だけ、『雷轟丸と地べたの物語』を読み始める。 読み終えてから、床に着こう。 乃絵に眞一郎を奪われる悪夢を見なくてもいい。 わざわざ部屋に来てくれて絵本を届けてくれたのだから。 次に繋げてくれるように書き加えてくれるし、他の絵本もある。 素敵な夢を見ながら眠れそうだ。 (後編に続く) あとがき 第十ニ話ということもあり、第十三話である最終回に、 どう繋げるかを意識しなければなりません。 このままきれいにまとめてくるのか、少しくらいは波乱を起こすのかをです。 私の場合はどちらとは断定できません。 いくつもの伏線を回収してゆく都合上、余計なものでも拾いそうです。 さて前回の第十一話では、乃絵と比呂美が朝食を取るという妄想をしてしまいました。 見事にはずしてしまい、単なる願望でしかなかったようです。 一週間を経過をしたとはいえ眞一郎は比呂美のアパートに行ってますし、 比呂美がメガネを掛けている理由も明かされていませんでした。 一致した部分では、比呂美が乃絵の家出で眞一郎が捜索するのに嫌悪感を示すことと、 雷轟丸の絵本の存在を知ってしまい苛立ってしまうことでしょう。 第十一話における比呂美の内面は取り逃してはいませんでしたが、 あれほどまでに嫉妬深くなっているとは思いもせず、 第十二話で頂点に達すると考えていました。 さて第十二話の妄想では、はっきり言って正答率は低くなるでしょう。 かなり難解で、もう一つくらいSSを再構成できそうなほどです。 前編では祭り前夜での行動を描いてきました。 公式の画像にある比呂美が頬を染めるようにするためには、 あの嫉妬深い表情を一掃しなければなりません。 まずは乃絵ですが、解釈に悩まされます。 眞一郎と別れるとまではいかなくても、距離を置かれるようにはなるでしょう。 乃絵は眞一郎の心の中に比呂美がいるのを理解していますので、 眞一郎を比呂美のところへ飛ばします。 地べたを掲げる行為やタイトルコールや予告の台詞などが複雑に絡んできています。 さらに乃絵が泣けるようになる布石も考慮せねばなります。 最大の謎は、『雷轟丸と地べたの物語』の解釈と今後です。 詳しくは後述してあります。 純についてです。 キス発言が誰にするかで悩まされます。 声が軽いので冗談のようには聞こえます。 公式のあらすじどおりだと、乃絵になるようなので合わせてみました。 キスをするほどの仲なのかはよくわかりませんし、言われた乃絵の対応も不可解です。 比呂美に対してでもありうるのですが、 邪険にされているのを自覚している純はしないかもしれません。 個人的には純が決別の意思を示すためにして欲しくはあります。 それを比呂美が受け入れて、微笑んで拒絶するという大人の対応をして欲しいのですが、 眞一郎以外の男には興味の無い比呂美には困難です。 いつか比呂美の新人戦で会話くらいはできればと期待しています。 私が乃絵にキス発言にした理由は後編で描きます。 眞一郎についてです。 第十話での自転車での疾走、第十一話での及び腰という真逆といえる行動を、 第十二話ではどうするのかは想像しにくいです。 乃絵には別れの言葉のようなことがあり、純からは比呂美を任され、 比呂美は行動力を発揮しています。 眞一郎以外の登場人物のほうが、自分自身と向き合っています。 そういう状況に追い込まれつつも、ようやく眞一郎は比呂美のために果たそうとします。 公式のあらすじの画像での眞一郎の苦渋な顔をしているのは、そのためでしょう。 注目すべきは眞一郎の姿勢です。 背中が少し見えているのは前屈みになりつつあるからでしょう。 それとニット帽とマフラーを取っているのは邪魔になるからです。 よって自転車で比呂美のアパートに向わせました。 比呂美についてです。 第十一話では積極的でしたから、第十二話の前編では報告待ちという受身です。 乃絵の家出についての眞一郎から連絡があればと考えているでしょう。 比呂美として最高の形である眞一郎の訪問と交換条件の解消でふたりが自由になること、 さらに『雷轟丸と地べたの物語』について知らされること。 それらを満たしてみました。 特に『雷轟丸と地べたの物語』では地べたが比呂美であるなら、 比呂美が読んで欲しいという願いもあり、今後のふたりのために結び付けました。 ここまでされると比呂美は祭り当日に決意をして着付けができるでしょう。 この状態から後編に続きます。 予告としましては、あの人が鍵を握っています。 そのためのフラグを立ててきたのでしょう。 でも大きくはずす妄想になりそうな気がします。 あの人の評価が急上昇か急降下かの両極端になるでしょう。 ご精読ありがとうございました。 絵本の解釈 『雷轟丸と地べたの物語』 次の日は雨でした。 何も行動ができていない日のこと。 横で地べたが羽をバタバタと羽ばたかせていましたが、 地べたである比呂美は、何かをしようと考えていた。 雷轟丸は悠然としていました。 雷轟丸である眞一郎は、兄妹疑惑が晴れて、喜んでいて、比呂美に何もしなかった。 これで比呂美との仲を深められるが、具体的な行動をしていなかった。 何と十メートルの丘の上に朝日を背に向けた地べたのシルエットが、 すくっと立っているではありませんか。 地の底が仲上家であるなら、丘はそれを越えた場所のこと。 今回は、比呂美の一人暮らしを意味している。 実際は資金が仲上家から出ており、すぐに行ける場所でもある。 鶏としての最初の飛翔、その失敗による最初の栄光は地べたのものでした。 引越しによる飛翔をしたけれど、うまくは行っているようには見えない。 純とも別れられていないし、眞一郎との繋がりも深まっていない。 合鍵やキスが強引とも言える行為であり、お互いの気持ちを確かめ合えていない。 雷轟丸はただ臆病な鶏たちの中のただの一羽に過ぎませんでした。 雷轟丸はその他の鶏のように何もできていない。 その他の鶏とは他の登場人物も含まれており、何らかの成果を挙げている者がいない。 おわり 眞一郎が考えられる物語がここまでであるということ。 絵本の展開が本編の現在に追いついたために、眞一郎には地べたの行動を予測できていない。 その後に乃絵が地べたを掲げて展開させようとする。 祭りなどのイベントで書き足すか書き直される可能性がある。 最初と書かれていて、次回が無いというのも不自然である。 絵本の解釈は人それぞれ。 雷轟丸は眞一郎というのは大半の意見だろう。 地べたが誰なのかで、複数の解釈ができる。 だが一つ一つの事象を本編に会わせてゆくと比呂美の可能性が高くなる。 今回は特に地べたが飛翔するので、乃絵では特に大きなイベントはなかった。 よって地べたは比呂美となりやすい。 そもそも眞一郎は身の回りの出来事を自分が感じたことを記述するという心象表現。 今の眞一郎の境遇では暗い話になりがちで明るくは描けない。 もう一冊の比呂美の絵本では、眞一郎の願望が混じってくるので前向きになりそう。 これから比呂美との仲を深めてゆくには必須の小道具となりうる。 やはり絵本を告白の材料にする可能性はあるが、祭りが第十三話まで入り込んで、 告白が祭りの最中というのはありうる。 いつか後日談として比呂美が自分向けの絵本を見るというイベントはあるはずだ。 第十一話での「雪の海」という比呂美の発言は、眞一郎の発想を刺激しているだろう。 比呂美からの電話のときに言っていた絵本とは、比呂美向けのほうだろう。 さすがに雷轟丸のほうだと眞一郎は隠そうとするはずである。 雷轟丸のほうは一度でも乃絵にBADENDでも見せようという発言を眞一郎はしている。 今後は書き足すか書き直すかという展開はありうる。 祭りの最中で感じた雷轟丸の眞一郎と地べたの比呂美との想いを加えるだろう。 絵本については本編では詳しく解説すらもされない。 いつか設定資料集などが発売されるのを期待する。 ここで小話を一つ。 比呂美の一人暮らしをするというのが、雑誌によるネタバレがされたときに、 地べたの比呂美が飛んで、雷轟丸の眞一郎が置いてけ堀をくらうという予想をしていた。 書き直すことも視野に入れていた。 今回の絵本は、おわりとしてあるが、続きを書く可能性はある。 このまま地べたが比呂美であるなら、後味が悪いし、最初の飛翔だからだ。 読者の想像に任せて、あのまま地べたは死亡したのか、立ち上がるのかという判断を、 委ねてくるのか、かなり興味がある。 それと眞一郎父に雷轟丸の絵本を見せるには抵抗のある態度を示していた。 比呂美のほうが書き上がっていないからという意味もあるかもしれない。 眞一郎は地べたが比呂美として描いているとは自覚していないだろう。 それでも乃絵に見せるのは、現実を受け入れさせるためである。 なかなか超えることのできない高い丘があり、飛び立つことの困難なのを表現している。 たとえ絵本の中であっても、安易に飛んで見せることは眞一郎にはできない。 ならば眞一郎が乃絵の前で踊ることで飛んでみせる必要がある。 といっても飛ぶというのは踊りを成功させることである。 だが乃絵も受身になることはなく、現実で深い繋がりを築こうとする意思が必要である。 それは乃絵が祭りに参加するときに求められてくる。 乃絵にとって飛ぶことは、今の自分が狭い世界に留まっているのではなく、 人との交流ができる広い世界に行けるようになることだろう。 その導き手は一人しかいない。 前作 true tears SS第一弾 踊り場の若人衆 ttp //www.katsakuri.sakura.ne.jp/src/up30957.txt.html true tears SS第二弾 乃絵、襲来 「やっちゃった……」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4171.txt.html true tears SS第三弾 純の真心の想像力 比呂美逃避行前編 「あんた、愛されているぜ、かなり」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4286.txt.html true tears SS第四弾 眞一郎母の戸惑い 比呂美逃避行後編 「私なら十日あれば充分」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4308.txt.html true tears SS第五弾 眞一郎父の愛娘 比呂美逃避行番外編 「それ、俺だけがやらねばならないのか?」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4336.txt.html true tears SS第六弾 比呂美の眞一郎部屋訪問 「私がそうしたいだけだから」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4366.txt.html true tears SS第七弾 比呂美の停学 前編 仲上家 「俺も決めたから」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4403.txt.html true tears SS第八弾 比呂美の停学 中編 眞一郎帰宅 「それ以上は言わないで」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4428.txt.html true tears SS第十弾 比呂美の停学 後後編 眞一郎とのすれ違い 「全部ちゃんとするから」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4464.txt.html true tears SS第十一弾 ふたりの竹林の先には 「やっと見つけてくれたね」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4523.txt.html true tears SS第十二弾 明るい場所に 「まずはメガネの話をしよう」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4585.txt.html true tears SS第十三弾 第十一話の妄想 前編 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4598.txt.html 「会わないか?」「あなたが好きなのは私じゃない」 「絶対、わざとよ、ひどいよ」 true tears SS第十四弾 第十一話の妄想 後編 「やっぱり私、お前の気持ちがわからないわ」 「うちに来ない?」(予想) ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4624.txt.html true tears SS第十五弾 眞一郎の比呂美の部屋深夜訪問 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4688.txt.html
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グラスゴーを日本側がコピーしたKMF。基本設計やスペックはグラスゴーと同等だが胴体部に装備されたサザーランドと同型の対人機銃、腕部マニピュレーターに取り付けられたナックルガードなど改良されている箇所がある。日本解放戦線は濃緑とOD、黒の騎士団は黒と暗灰色、それぞれ塗装の基調色としている。 ブラックリベリオン後も黒の騎士団の戦力として活躍していたが、太平洋上でのナナリー座乗艦襲撃においてことごとく破壊された。 コードギアス独立のルルーシュでは最後まで搭乗したのは玉城 真一郎と南 佳高ぐらいである。それでも苦戦する事なく戦った。
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コードギアスは、テレビアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』を中心とする作品群。2007年現在、テレビアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』の他に漫画3作品が連載中、ネットラジオが放送中、ドラマCD、小説がシリーズで発売中である。ゲームはニンテンドーDS版及び、PSP、PS2が発売中の他、Wii版の発売も予定されている あらすじ (この作品のあらすじ アニメニュジュ制作の一言もあり サブタイトル (この作品のサブタイトル アニメニュジュ制作の一言もあり 登場キャラクター・声の出演 (コードギアスの声優にも詳しくなれる?アニメニュジュの製作者の言葉? コードギアスについての用語集 (コードギアスの用語を説明する(工事中) スタッフ(コードギアス制作スタッフのみなさん 主題歌 (コードギアスの主題歌 コードギアスⅡ (コードギアスの続編です (工事中 アニメニュジュ大図鑑へ戻る
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「……ん。………朝…か?」 刹那は目を覚ました。最初はいつもと違う風景で驚いたが、自分は今仮想空間の中に居る事を思い出した。 とりあえず顔を洗おうと部屋を出るとすずがご飯の準備をしていた。 「おはようございます。」 「おはようございます。相当疲れてたんですね。随分寝てましたよ?」 「え?そうですか?…今何時くらいですか?」 「ん~?今昼過ぎたくらいですかね?」 「え!?そんな馬鹿な…!」 急いで外に出て太陽を見ると日が少し西に傾いていた。夏休み中の学生ならこんな事当たり前なのだが…、 (しまった。朝の修行ができなかった…。) 刹那の一日は朝の修行から始まるのだが、今日は出来なかった。真面目な彼女にとってはかなりのショックだ。 (とりあえず今からでも修ぎょ…) ―――ぐぎゅるるる~~ 「………。」 「ふふふ、ご飯にしますか?」 「……はい。」 人間空腹には勝てないのである。刹那はかなり遅めの朝ごはん、と言うより昼ごはんをご馳走になった。 「ふ~、ご馳走様でした。すごく美味しかったですよ。」 「はい、ありがとうございます。」 (さて、ご飯も食べたし…。修行に行こう。) そう思い外に出ると見覚えのある人物が立っていた。 「あ!堂島さん。こんにちは。」 「おお、刹那か。実はお前に話したい事があるんだ。」 「話したい事…ですか?」 「ああ、重要な事だ。…立ち話もなんだ。店に入ろう。」 もともとの恐い顔が一層険しくなる。それを見てただ事じゃない事を悟った刹那は大人しく聞くことにした。 「どうぞ。」 すずが二人分のお茶を出した。堂島はそれを一口飲むと語り始めた。 「今の六骨峠の状況は理解しているか?」 「はい、大体の事は…。」 「そうか、なら話は早い。…実は黒生家と赤玉党が争っているのは訳がある。」 (そう言えば知床さんが赤玉党が絡んでくるとかいってたなぁ…。) 「赤玉党にこの六骨峠を支配しろと進めている奴がいる。そのせいで両者が争っているんだ。」 「……その者とは?」 堂島は深く息を吐くと少し強めの口調で喋った。 「…その男の名は『日向』!」 「…彼は一体何故そんな事を?」 「奴は昔、京の町で暗躍していた忍者だ。…政府の手先としてな。俺も何度か奴と戦りあった事がある。」 「……すずさん、この人は一体何者?」 「さあ…鍛治屋を営んでる事しか…。」 「俺の事はどうでもいい!!」 一応小声で聞いたのだが堂島に聞こえてしまい怒られてしまった。 「もし日向を倒せばこの辺もしばらくは落ち着くだろう。刹那!手伝ってくれ!」 堂島は立ち上がり、真剣な眼差しで刹那を見た。 「いいでしょう。この町のためになるなら手伝いましょう!」 自分の目に狂いはなかった。そう思い少し嬉しくなる堂島だった。 「よし!奴は政府と繋ぎをつける為橋に向ってるはずだ。今から行くぞ!」 「はい!」 二人は急ぎ橋に向った。 「所で堂島さんの武器は?見たところ刀を持ってないようですし…。」 「ああ、俺の武器はこれだ。」 そう言って自分の腰を指差した。腰には刀を鍛えるトンカチの様な工具があった。それを見て刹那は思った。 (……ある意味凶器だ。) 「見えたぞ!!」 そうこうしてる内に橋が見えてきた。二人が橋を渡ろうとしたその時…! 「…ッ!!敵!?忍者!!」 橋の真ん中くらいに差し掛かった時に複数の忍者に囲まれた。そして神社方面の道から一人の男がやって来た。 「久しぶりだな…、日向。」 遂に現れた日向。奴を倒せば六骨峠も平和になる。そう信じて刀を抜く刹那。 しかし二人は知らない。既に別の魔の手が近づいている事を…。 第十三話へ
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Blu-ray コードギアス 復活のルルーシュ (特装限定版) コードギアス Genesic Re;CODE Archives 発売日:12月5日・12月15日 ・ビジュアルコメンタリー(出演:福山潤、櫻井孝宏、谷口悟朗) ・舞台挨拶映像 ・完成披露試写会映像 ・ピクチャードラマ「Re;f 103.00 深海のカケラ」 脚本:大河内一楼、作画:木村貴宏 ■特製ブックレット(52P)■ポストカード(8枚) ■CLAMP原案イラスト集(12P) ここを編集 2006年10月放送開始。プライムビデオが配信開始。続編にコードギアス 反逆のルルーシュR2が、番外編に~亡国のアキトがある。 http //www.geass.jp/ 監督 谷口悟朗 副監督 村田和也 ストーリー原案 大河内一楼、谷口悟朗 シリーズ構成 大河内一楼 副シリーズ構成 吉野弘幸 キャラクターデザイン 木村貴宏 キャラクターデザイン原案 CLAMP ナイトメアデザイン 安田朗、中田栄治、阿久津潤一 メカデザイン・コンセプトデザイン 寺岡賢司 メインアニメーター 木村貴宏、千羽由利子、中田栄治、中谷誠一 デザイン協力 沙倉拓実 動画検査 名和誉弘、薮本和彦、斉藤玲子、志水よしこ、YEO JIN YOUNG、KIM JIN GI、石井康雄、坂井絵里子 美術監督・美術ボード 菱沼由典 色彩設計 岩沢れい子 色彩設計協力 熊谷妙子 撮影監督 大矢創太 3DCGディレクター 渡辺哲也 3DCG さとうふみかず 3DCGマネージメント 黄樹弐悠 2DCGディレクター 三好正人 2Dエフェクトチーフ 古橋宏 編集 森田清次 音響監督 浦上靖夫、井澤基 音響効果 庄司雅弘 ミキサー 内山敬章 アシスタントミキサー 大城久典 担当デスク 浦上慶子 音楽 中川幸太郎、黒石ひとみ 特殊設定 森田繁 メインタイトルデザイン 鈴木雅巳 プロデューサー 河口佳高 アニメーション制作 サンライズ 脚本 大河内一楼 吉野弘幸 野村祐一 コンテ 谷口悟朗 須永司 村田和也 坂本郷 深海曜 杉島邦久 演出 秋田谷典昭 村田和也 三好正人 三宅和男 鳥羽聡 工藤寛顕 馬場誠 山田徹 政木伸一 作画監督 千羽由利子 中谷誠一 木村貴宏 中田栄治 佐光幸恵 山根理宏 石田可奈 しんぼたくろう 高橋晃 坂本修司 前田清明 田畑壽之 鷲北恭太 米山浩平 池田有 金成范 向山祐治 天崎まなむ 佐々木睦美 鎌田祐輔 板垣敦 佐久間健 プライムビデオ コードギアス 反逆のルルーシュ Ep. 1 "STAGE1 魔神 が 生まれた 日" 監督 谷口悟朗, 村田和也 再生時間 0時間24分 初公開日/初回放送日 2006年10月4日 提供 バンダイチャンネル ■関連タイトル コードギアス 反逆のルルーシュ 5.1ch Blu-ray Box コードギアス Genesic Re;CODE Archives コードギアス反逆のルルーシュ メカニック ワールド ピアノソロ 『コードギアス 反逆のルルーシュ』/『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』ベスト・セレクション コードギアス 反逆のルルーシュ ピアノソロコレクション Blu-ray コードギアス 反逆のルルーシュ I 興道 特装限定版 CODE GEASS 2014カレンダー コードギアス反逆のルルーシュ DVD-BOX ラバーストラップコレクション コードギアス 反逆のルルーシュ STAGE.1 抱き枕カバー A ユーフェミア コーネリア 抱き枕カバー B 神楽耶 天子 ROBOT魂 [SIDE KMF] ランスロット Blu-ray コードギアス 反逆のルルーシュ vol.1 コードギアス 反逆のルルーシュ O.S.T. CODE GEASS COMPLETE BEST DVD付き コードギアス反逆のルルーシュ Sound Episode 1 コードギアス反逆のルルーシュ キャラクターソングベスト イラスト集 コードギアス 反逆のルルーシュ illustrations Rebels イラスト集 MUTUALITY CLAMP works in CODE GEASS コードギアス 反逆のルルーシュ ザ・コンプリートガイド ROBOT魂 ガウェイン フィギュア・ホビー:コードギアス 反逆のルルーシュ rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 053df7e0.7c451bd1.0c852203.190c5695 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId=0;rakuten_size= 468x160 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= on ;rakuten_auto_mode= on ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ; 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Switch ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom Switch 世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER Switch ピクミン 4 大友克洋 Animation AKIRA Layouts Key Frames 2 小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 1 ONE PIECE FILM REDデラックス・リミテッド・エディション 4K ULTRA HD Blu-ray Blu-ray 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ 完全生産限定版 Blu-ray 映画『ゆるキャン△』 Blu-ray 【コレクターズ版】 Blu-ray ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! Blu-ray 天地無用!GXP パラダイス始動編 Blu-ray第1巻 特装版 天地無用!魎皇鬼 第伍期 Blu-ray SET 「GS美神」全話いっき見ブルーレイ Blu-ray ソードアート・オンライン -フルダイブ- メーカー特典:「イベントビジュアル使用A3クリアポスター」付 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live! 虹が咲く場所 Blu-ray Memorial BOX 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray BOX 特装限定版 地球へ… Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 神風怪盗ジャンヌ Complete Blu-ray BOX HUNTER×HUNTER ハンター試験編・ゾルディック家編Blu-ray BOX BLEACH Blu-ray Disc BOX 破面篇セレクション1+過去篇 完全生産限定版 MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 アニメ・ゲームのロゴデザイン シン・仮面ライダー 音楽集 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー 完全版 EPISODE No.1~No.98 MOVIE リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ アニメ「魔入りました!入間くん」オフィシャルファンブック 『超時空要塞マクロス』パッケージアート集 CLAMP PREMIUM COLLECTION X 1 トーマの心臓 プレミアムエディション パズル ドラゴンズ 10th Anniversary Art Works はんざわかおり こみっくがーるず画集 ~あばばーさりー!~ あすぱら画集 すいみゃ Art Works trim polka-トリムポルカ- つぐもも裏 超!限界突破イラスト&激!すじ供養漫画集 開田裕治ウルトラマンシリーズ画集 井澤詩織1st写真集 mascotte 鬼頭明里写真集 my pace 内田真礼 1st photobook 「まあやドキ」 進藤あまね1st写真集 翠~Midori~ 声優 宮村優子 対談集 アスカライソジ 三石琴乃 ことのは 亀田祥倫アートワークス 100% 庵野秀明責任編集 仮面ライダー 資料写真集 1971-1973 金子雄司アニメーション背景美術画集 タローマン・クロニクル ラブライブ!サンシャイン!! Find Our 沼津~Aqoursのいる風景~ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] 梅津泰臣 KISS AND CRY 資料集 安彦良和 マイ・バック・ページズ 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』編 氷川竜介 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 Blu-ray THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation ETERNITY MEMORIES Blu-ray おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 Blu-ray 映画 バクテン!! 完全生産限定版 アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ Blu-ray BOX 初回生産限定版 はたらく細胞 Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray 長靴をはいた猫 3作品収録 Blu-ray わんぱく王子の大蛇退治 Blu-ray 魔道祖師 完結編 完全生産限定版 魔道祖師Q Blu-ray Disc BOX 完全生産限定盤 にじよん あにめーしょん Blu-ray BOX 【特装限定版】 Blu-ray 鋼の錬金術師 完結編 プレミアム・エディション Blu-ray付き やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完 限定版【同梱物】オリジナルアニメ Blu-ray「だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。」
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true tears SS第十七弾 第十二話の妄想 後編 「本当だ、俺、何やってんだろ」 第十二話の予告と映像を踏まえたささやかな登場人物たちの遣り取りです。 妄想重視なので、まったく正誤は気にしておりませんが、 本編と一致する場合もあるかもしれません。 本編に出て来た伏線を回収してみたいなと思います。 石動純は登場しますが、乃絵にキス発言をします。 明るい展開を心掛けているので、良識のある登場人物ばかりになりました。 最後には第十二話の妄想の要約をしてあります。 前作 true tears SS第十六弾 第十二話の妄想 前編 「きれいよ、あなたの涙」「何も見てない私の瞳から…」 「キスしてもいいか?」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4773.txt.html 比呂美は眞一郎母の部屋で眞一郎母と着付けをした。 振袖は薄紅色の生地で下のほうは赤く染められていて、眞一郎母が所有しているものだ。 たくさんの想いが込められていて、比呂美はさらに含ませようとする。 比呂美は白粉をして唇には紅を引いてもらっている。 それからふたりは比呂美部屋を訪れて正座で対峙する。 「本当にいいの?」 何度もされてきているが、眞一郎母による最終的な意思の確認だ。 「覚悟をしていますから」 比呂美は言葉を少なくして決意を伝えた。 自分から仲上夫妻に申し出て、この振袖に袖を通したのだ。 祭りで眞一郎の花形のような大役を比呂美は担おうとしている。 「本当に比呂美はお母さんに似ているわ」 眞一郎母はふと洩らした。 「ありがとうございます」 比呂美は頬を朱に染めてしまう。 兄妹疑惑があったときには、眞一郎母に母娘ともにふしだらと言われ続けられていた。 「あの写真はどうしているの?」 眞一郎母は表情を曇らせている。 「両親の形見であるアルバムの中に仕舞ってあります」 「そうなの。ごめんなさいね」 「もうその話はいいです。おばさんが嫉妬する気持ちがわかりましたから」 比呂美はあの逃避行の前に言ったことを繰り返した。 「いろいろあるようね。あのバイクの男の子はどうしたのかしら?」 「もう別れました。バイクは修理できるようです」 「お金が必要なときには言いなさいね」 「これ以上はさすがにいただけません」 比呂美が一人暮らしをする生活用品を一式を揃えてくれたのは仲上家の提供だ。 眞一郎よりも資金が費やされているようなものだ。 仲上家にとっては今までの謝罪が込められているので、比呂美は丁重に受け取った。 「今日はお祭りだから、堅いお話を抜きにしましょう。 そうね、まずはあの人との馴れ初めよね。 私が今回の比呂美の役をするようになったのは、あの人との両親に交際を認められてからよ。 やはり仲上家のお酒を振舞うだけなら、私のような普通の着物でもいいの。 でも比呂美は他の意味があるようね」 眞一郎母は単なるお酒を振舞う役を、比呂美が求めているのではないのを悟っている。 去年、比呂美は普通の着物姿をしていたからだ。 「やはり気づかれていますよね」 上目遣いで眞一郎母を見つめてしまう。 「さすがにね。今回のは決定的だわ。 仲上家に来たときですら、私は薄々ながら感づいていた。 他人の家であっても同い年の幼馴染の家に来たがらないでしょう。 比呂美にはアパートを用意できるし、家事だってこなせるし。 それに私がつらく当たっても我慢していたから」 「その話はもう……。 いろいろ学べましたからいいです」 仲上家でも学校でも乃絵や純に対してでも比呂美にはさまざまな影響を与えてくれている。 「でもよくわからないのは、なぜ引っ越そうと思ったことよ。 自立がしたいからという理由のようだけど、眞一郎と仲良くしたいなら、 うちで構わないわよ」 眞一郎母は比呂美に眞一郎の部屋に着替えを運ばせるほどに、 ふたりの部屋の行き来を認めている。 あれは自立というよりも、眞一郎のそばに乃絵がいるから甘えられないからだった。 眞一郎の部屋で比呂美の絵を見つけてから、引越しするときに仲上家に来た理由を告げた。 少しでも可能性があるかもと、眞一郎に賭けてはいた。 あの一枚絵が引越しの相談する以前なら、迷っていただろう。 「でも一人暮らしは楽しいです。充実していますから」 「学校や世間では受け入れてもらっているから、比呂美の好きにすればいいわ。 でもふたりの母として、比呂美は身持ちを固めておいたほうがいいわね」 「そういうことまでは考えていません……」 視線を逸らすことで追及を逃れようとした。 「あなたたちなら、引っ張ってゆくのは比呂美のほうみたいね。 比呂美がしっかりしていれば大丈夫だと思う」 「そう見られているのですか?」 「この前まで不機嫌な比呂美が、眞一郎に当たっているようだったから。 眞一郎は比呂美に言い返せなかったわ」 眞一郎母の見解は正しいのだが、比呂美のほうからキスをしたようなことを考慮していない。 「そうかもしれませんね」 「それに私のときとは違うのかもしれないし」 眞一郎母は宙に視線を漂わせている。 「おじさまがお母さんを好きだったことですか?」 比呂美は初めて眞一郎母に問うてみた。 「そうかもしれないわね。あの人に訊いてはいないけど。 でも比呂美の役をして欲しいと言ってくれたのはあの人からよ。 それと比呂美のお母さんは、お父さんしか見ていなかったし……」 言葉を濁したのは眞一郎父が比呂美母を諦めてから、眞一郎母を選んだかもしれないからだ。 いつまでも確かめられなくて比呂美たちを恨んでしまったのだろう。 「誰もが幸せになるようにするのは難しいですね」 変に誰かの肩を持つことはできなくて、自分の立場に重ねていた。 眞一郎が比呂美か乃絵かを選ぶ時点で、しこりができてしまう。 「それでも比呂美はその姿でいるのね。 眞一郎には話したの?」 眞一郎母の懸念は比呂美の態度だけではない。 「まだです。祭りがもう少し後だったら話せたかもしれません。 それに驚かせたい気持ちもあるし、仲上家の娘としてめかし込むという意図もあります」 比呂美はさまざまな解釈をできる対策を練っている。 眞一郎との仲が磐石ではないし、仲上夫妻の期待に応えられない場合もありうる。 眞一郎が乃絵を選ぶ可能性や第三者が将来的に介入してくるかもしれない。 「見せて来なさい。そこにある絵本も持って行くのでしょう?」 比呂美が仲上家に来たときに、部屋の扉を開けてから壁に立て掛けて置いていた。 『雷轟丸と地べたの物語』を持参していて、朝に返す約束をしている。 「読まれたことはありますか?」 「眞一郎の部屋に入ったときに、机の上で開かれていたときに眺めたことはあるわ。 でもあの人と相談していて、眞一郎が見せてくれるまで待とうと思っている」 眞一郎母はスケッチブックに視線を送っている。 「とても想いが込められています。 さらに祭りで書き加えるつもりです」 比呂美は屈託なく微笑した。 うまくできていないのを自覚しながら。 「いつまでも待っているわね」 眞一郎母は立ち上がり去って行く。 次の行動は比呂美の自由にさせたいからだろう。 * 比呂美は絵本を返すために眞一郎の部屋の前に立つ。 ノックをすると眞一郎が扉を開けてくれた。 「……その振袖はどうした?」 眞一郎は比呂美の頭から足先まで視線を往復させた。 「おばさんに借りたの。中に入っていいかな?」 比呂美の問い掛けに眞一郎は行為で応じる。 比呂美はすっと中に入って机まで歩いて行く。 「絵本は置いておくわね」 「そうだな……」 消えてゆく言葉で比呂美は眞一郎の動揺を悟った。 この振袖の意味までも、理解はできていないだろう。 仲上夫妻には口止めをしていたのだから、深い意味を伝えられるほどの余裕はない。 「眞一郎くん、似合っているよ」 まじまじと仕返しをするかのごとく眞一郎の姿を眺める。 「比呂美もいつもよりも大人びた雰囲気がいい」 少しだけ言葉を選んでくれていたのは嬉しい。 比呂美は眞一郎に近づいて行く。 「しっかりと結べていないわ」 比呂美は一度だけ解いてからきつく結び直す。 「本当だ、俺、何やってんだろ」 眞一郎はまったく気づいていなかったようだ。 「踊っているときに着崩れしたら、せっかくの花形の衣装が台無しよ」 比呂美はかすかに目に力を入れて訴えた。 ふたりの瞳が見つめ合ってしまう。 そっと眞一郎から唇を重ねてくる。 比呂美は抵抗する事無く受け入れると、軽く一瞬だけ合わせただけだった。 「昨日、言っていた絵本を見るか?」 赤らめたままの眞一郎が話題を変えてきた。 「今はいいわ。これ以上、何かあると化粧が落ちてしまうかもしれないから」 比呂美は眞一郎に身体を預けると、眞一郎は優しく支えてくれている。 勇気を出してこの振袖に身を包んだ甲斐があった。 * 比呂美が振袖でお酒を振舞うだけでも、人々が集まってしまう。 予想以上に冷やかされている。 別に眞一郎との仲のことばかりではなく、口説こうとする者まで現れる。 適当に受け流しつつも、比呂美は眞一郎を探してしまう。 いつの間にかにいなくなっていて、笑顔が崩れ始めている。 「比呂美、休憩がてらに眞一郎を探して来てくれないかしら?」 しゃがんでいる比呂美のそばにいる眞一郎母から指示をされてしまった。 「私のせいでこんなことになってしまって……」 昨年も似たようなことがあったけれど、今年は異常だ。 ますます好奇な眼差しに晒されている。 「私のときと比べては人数が少ないほうよ。 昨年の噂を聞いて来てくれている方々もおられるでしょうし」 眞一郎母はにこやかに明かしてくれていた。 「そういうものでしょうか?」 「祭りの後には話し合いが各地であるのよ。 比呂美は帳簿を見ていたからわかると思うけれど、売り上げは急には下がらないのよね。 比呂美のおかげで宣伝にはなっているし、同業者を出し抜く機会になっているわ」 耳元で内部事情を囁いてくれていた。 「売り上げに貢献できて嬉しいです」 看板娘のように扱われるのは心地良い。 「さっきまで俯いていたのが直っているわね。 その顔を維持したまま、眞一郎のところに行きなさい」 眞一郎母の言葉を受けて比呂美は立ち上がって歩き始める。 「旦那を迎えに行くのかい?」 「男には首輪を付けておいたほうがいいぞ!」 「夫なんてすぐに油を売りに行くもんだよ、比呂美ちゃん」 男ばかりでなく女の声も混じり始めている。 いつの間にか主婦の仲間入りにされているようだ。 そんな煽りを受けると、比呂美の身体全体が桜色に染まりつつある。 足取りも不安定だ。 「まだ眞一郎との交際を認めていません」 眞一郎母の声が響いて、一瞬だけ静まり返る。 比呂美も立ち止まってしまったが、歩き始める。 ふたりを守るための嘘だとわかっているから。 * 眞一郎は自動販売機のそばのベンチにひとりでいる。 比呂美の人気を目の当たりをして避けてしまった。 ずっと眺めているわけにもいかずに、外に出てしまった。 特に踊り場で親しい人がいるわけではなかった。 愛子と乃絵だけだった。 そのふたりと会うのは難しくはある。 乃絵は踊りを見に来るように誘ったが、話ができるか微妙だ。 「よう」 三代吉がひとりで会いに来てくれた。 「愛ちゃんの店でバイトをしていたよな」 「休憩時間はあるから、お前に会いに来た。 これはお裾分けだ」 三代吉が今川焼きを渡してくるので、眞一郎は食べてみる。 「堅いな。焼きすぎのような」 「やはり愛ちゃんのようにはいかないか」 三代吉は気落ちしてしまった。 「少しずつうまくなればいい。 俺が味見するから」 眞一郎はにこやかに応じた。 「そのときは頼む。店に顔を出してくれよな。 さっき仲上酒造のところに行ったが、すごい人だかりだった。 湯浅比呂美がきれいすぎて驚いた」 三代吉は感嘆してしまうのは頷ける。 その比呂美は眞一郎と二度も唇を重ねている。 それでもあの場にいる比呂美は別人に思えてくる。 幼馴染がテレビの中にいるような距離感があるのだ。 「そうだよな……。 化粧をして振袖というだけで変わるものだな」 「そういうものだろ。 そういえば石動乃絵とはどうなった?」 三代吉は平然と訊いてきた。 「別れたようなものかな? 気まずくなっている」 「これで湯浅比呂美と一緒になれる。 あいつのことはどうでもいいし」 三代吉は歯を見せるほどにすがすがしい。 「比呂美はあいつと別れたようだ。 ふたりから聞かされている」 「もう何の問題がないよな。 良かった、いい話が聞けて」 三代吉は眞一郎から視線を外した。 「これでいいのかな? いろいろな人を巻き込んでおきながら、比呂美と結ばれて。 比呂美と俺が両想いだったら、最初から素直になっておけば良かった……」 さすがに比呂美の前では言い出せなかった。 仲上家に来たときから積極的になっていれば、 純が好きだと打ち明けられても告白しておけば、 兄妹疑惑のときにはふたりで相談しておけばと悩んで苦しむ。 「話すべきか迷っていたが、言わせてもらおう。 愛ちゃんはお前に強引にキスしたらしいな。 別にお前を責めているんじゃないんだ。 ここらですべての葛藤から開放して欲しい。 俺はお前と湯浅比呂美を最初から応援していたから」 力強く魂が込められた声調だった。 親友でありながら友達である彼女を奪われたようなものなのに、 眞一郎と愛子を許そうとしてくれている。 「ふたりにも悪いことをした。 俺が愛ちゃんのことに気づいていれば、仲を取り持とうとはしなかった」 「俺も気づけなかったから、お互いさまだ。 これ以上、何か言うと怒るぞ」 三代吉は眉根を寄せて睨んでくる。 冗談のようだが、本気も混じっているのだろう。 「あのことを三代吉にも知ってもらえてありがたい」 「これで後腐れ無しだ。 ぜひ湯浅比呂美と一緒に愛ちゃんの店に来てダブルデートの相談をしようぜ」 三代吉の思考には親友である眞一郎も狂わされる。 「そんなことまで考えていたのかよ……」 眞一郎は言葉を流そうとするのが精一杯だった。 * 眞一郎母は比呂美の後姿を見送った。 不満げな男たちを一睨みで黙らせる。 踊り場のメンバーである中年の能登と茶髪の有沢が近寄って来る。 「奥さん、余計なお世話かもしれないが、聞いて欲しい話がある。 坊ちゃんと比呂美ちゃんに関係することじゃが」 能登はためらいがちに声を掛けてきた。 あまりふたりのことを気にしていなかった眞一郎母は振り返って驚いてしまった。 「何でしょうか?」 構える事無く自然体でいようとしたが、できなかった。 「坊ちゃんは踊り場に比呂美ちゃんとは別の女の子を連れて来ていた。 一度目はその子が勝手に入って来たのじゃが、二回目は坊ちゃんと一緒じゃった」 「麦端の制服を着ていまして、小柄でかわいらしい女の子でした。 我々が踊り終えると立ち上がって拍手をしてくれました。 踊り場の雰囲気を読めてはいなかったようですが、それだけ感動してくれたのでしょう」 能登の発言に有沢が補足していた。 「貴重な情報をありがとうございます」 知らない内に眞一郎父まで口を挟んできた。 「あなた……、こんなことって……」 比呂美が振袖になる前に決着していた。 踊り場に女の子を連れて来るということは、交際していると宣言しているものだ。 眞一郎は比呂美が引越しするときに自転車でトラックを追い駆けるほどに、 比呂美に好意を寄せているとばかりに思っていた。 直接に眞一郎の気持ちを確認いておけば良かった。 そうすればこんなことにならなかったかもしれない。 「このことは比呂美に内密にしておいてください」 眞一郎父は畏まって頭を下げた。 「話す気はない。情報を提供するのは我々の義務じゃからの。 その女の子は感じの良い子じゃった」 「愛ちゃんと親しくしていましたよ。 詳しく訊いてみては?」 能登と有沢の連携からすると、その女の子に悪い印象はないようだ。 「愛ちゃんですか、覚えておきます」 買い物をするときに遭遇するときもある。 本当は愛子のような女性が眞一郎にはお似合いと考えたこともあった。 酒造も接客をするときもあるので、愛想が良いほうがいい。 愛子には今川焼き店があるから、仲上家で手伝うのは困難だ。 幼い頃から、眞一郎を良い方向に導いてくれそうではあった。 今では比呂美を認めているのは揺るぎがない。 「眞一郎がその子を選んだとしたら受け入れよう」 眞一郎父も比呂美と結ばれて欲しいという想いがある。 「わかっています。でも……」 そうなった場合、比呂美はどうなるのかと考えてしまう。 『誰もが幸せになるようにするのは難しいですね』 『おばさんが嫉妬する気持ちがわかりましたから』 今朝の比呂美の台詞。 比呂美は幸せになろうとしても、なれないかもしれない。 眞一郎母が比呂美に嫉妬していたなら、比呂美は誰かに嫉妬していた。 「もしかして比呂美はその子のことを知っているかもしれません。 同じ学校ですから、知っていてもおかしくないでしょう。 でも踊り場のことまではわからないかもしれません」 確証がなくとも眞一郎母はそう信じることにした。 「女同士で何かわかるものがあるのだろう。 詳しくは訊かないが」 本当は眞一郎父は知りたがっているのを理解できている。 夫婦の会話でしてみるのはいいかもしれないが、この場では控えるべきだ。 「今はそうして欲しいわ」 「話しておいて良かったようじゃな。 子どもたちを理解できる機会にはなったようじゃ」 能登は複雑な表情でまとめた。 踊りメンバーで最高齢だから、代表して話してくれた。 「ありがとうございます」 仲上夫妻は声を揃えた。 「比呂美が仲上の娘として自覚してくれたのは事実だ」 「まだ比呂美の応援を私はしてゆきますよ」 比呂美の決意を無駄にはできない。 あの振袖で眞一郎父と結ばれるきっかけになったという縁起の良いものだから。 * 比呂美は眞一郎を探しに行くことになった。 まったく当てが無いが、そんなに遠くには行っていないだろう。 まわりを見渡すと、三代吉が歩いている。 ふたりの関係を詳しくは知らないが、後を追ってみる。 運良く眞一郎がいる場所に導いてくれた。 せっかくの機会だから、物陰に隠れて聞き耳を立てている。 眞一郎は三代吉が焼いた今川焼きを味見をして感想を洩らしている。 そういえば三代吉が愛子の名前を出しているのを聞いたことがあった。 少しずつ三人の関係を把握できつつあるが、ますます出て行けなくなる。 特に愛子のキスは衝撃的で、足がすくんでしまっていた。 「そんなことまで考えていたのかよ……」 眞一郎の発言がきっかけになった。 「私は賛成だから……」 ゆっくりと歩み寄った。 「湯浅比呂美……」 さすがに三代吉は硬直してしまった。 「比呂美、どこから聞いていた?」 眞一郎は無表情だ。急な出来事だから、余裕がないのだろう。 「愛ちゃんとのキスから。 責める気はないし、過去のことのようだから」 変に何も知らないと否定するよりは、核心を突いていたほうが良さそうだ。 きっと眞一郎は比呂美に聞かれたかもと悩むだろうから。 「そう言ってもらえて嬉しい。 これで四人とも共通の見解になったようだ。 俺はそろそろ戻る。 後はふたりでな、お前の麦端踊りを愛ちゃんと見に行くからな。 湯浅比呂美の振袖はかなり似合っているぜ。 踊り場で会おう、ふたりとも」 三代吉は一方的に語って去って行く。 「いつかお店に行くから」 比呂美が声を掛けると、三代吉は右手を挙げた。 「眞一郎くん、今川焼きの半分をくれないかな?」 比呂美の希望を叶えて、ふたりは食べ終わる。 「おいしかった」 「わざわざ呼びに来てくれたのか?」 「おばさんに言われて休憩がてらに」 「とても落ち着ける話ではなかった」 「そんなことはないわ」 比呂美は左右に首を振った。 「愛ちゃんには三代吉がいる。あのふたりにはうまくいって欲しい」 「いつかふたりでいる姿を見てみたいわ。 私、愛ちゃんとも会っていないし」 いつから会っていないかのも定かではない。 「そうだったな。俺たち幼馴染なのに」 「いつまでも一緒というわけにはいかないから。 それと石動乃絵のお兄さんとは何もなかったから」 先手を打って確認してみようとした。 「俺も乃絵と何もなかった……」 眞一郎はかすかに語尾を濁した。 「良かった」 比呂美は微笑んであげた。 眞一郎の表情から、そんなに深い関係ではなかったようだ。 ふたりは並んで歩き始める。 「男同士の友情ってすごいね。 野伏くんはかっこ良かった」 コートに入る純よりも自然体であったのを評価したくなる。 「あいつだからだろうな」 「眞一郎くんは今川焼きを味見してあげていたよね」 比呂美の発言に眞一郎は渋る。 「さっきの話、最初から聞いていたようだな」 眞一郎の追及に比呂美は早足になる。 「だってすぐに入れないような重い話をしていたから」 「別に怒っていないからさ。 比呂美だって黒部さんと仲良くしているだろ」 「そうね」 おんぶ野郎と眞一郎がメールに記述されていたのを思い出す。 「何をにやけているのか気になる」 「眞一郎くんの勘違いよ」 もうすぐ仲上酒造に着いてしまう。 「俺はどこにも行かない。 他の人と話しくらいはしておかなければ」 ふたりは立ち止まって考えを改めようとする。 「私の目が届く位置にいて欲しい。 口説かれたり嫁として誘われたりされるとね」 眞一郎が間に入って阻止してもらおうとは思っていないが、笑顔を引きつらせてしまう。 「そろそろ入るか?」 「そうしないとね」 ふたりは見つめ合ってから、並んで姿を現す。 「やっと旦那を連れて帰って来たか」 「せめて手を繋いでくれよ」 「抜け出して遊んでくればいいのに」 ふたりが揃ってしまうと、祝福する野次が飛び交ってしまう。 俯いてから視線を交錯させていると、ますます羞恥に染められる。 「比呂美、手伝って」 眞一郎母が声を掛けてくれた。 「はい」 比呂美が返事をすると、まわりの男たちが騒ぎ出す。 眞一郎は同じ踊りメンバーを探すと、有沢がいる。 話し掛けようと試みる。 * 祭の描写 * 乃絵は石動家の中を探すと、兄の純がいない。 バイト先のバイク屋に行ってみる。 作業着姿の純がいる。 「お兄ちゃん、お祭りに行こうよ」 いつものごとく元気良く誘ってみた。 勤務中であっても、一日中も仕事をするわけではないはずだ。 「俺は行かない。仕事が忙しくてね」 「そう……」 「今の乃絵なら一人でも行けるだろう。 楽しんで来るといい」 純は固い表情で告げてから作業に取り掛かる。 これ以上、邪魔をするわけにはいかず、乃絵は外に出る。 今まで一人でイベントに参加することはなかった。 この祭りも純と一緒に行けるか、眞一郎のところに行けばいいと考えていた。 それができないなら、家に帰るだけだ。 乃絵は少しだけでも祭りの雰囲気を味わおうとする。 楽しそうな声がしてきて、人々が出店で購入した焼きそばやたこ焼きを食べている。 お金を出せば買えるわけだが、乃絵の欲求を満たせてくれるわけではない。 やはりあのときに飛んでおいたほうが良かったかもしれない。 大勢の中でたったひとりというのは、学校では慣れていても、祭りでは過酷だ。 「乃絵ちゃん」 いつの間にかにそばにいた愛子が声を掛けてきた。 「愛ちゃん……」 「どうしたの? 元気ないな。 これから彼氏の眞一郎のところに行くんでしょう?」 愛子は微笑んで訊いてきた。 あの踊り場で出会ってから、その後のことを知らないのだろう。 「眞一郎とは別れました」 乃絵の中ではそう思っている。 「ごめんね、変なことを言って。 でもこれで眞一郎に振られた者同士だね」 愛子は翳りを帯びていても、笑顔であろうとする。 「どうしてそんなに強いのですか?」 乃絵は率直に訊いた。 「いっぱい泣いたからな」 愛子は空を見上げる。 「私は泣けなくなりました」 「でも泣けるようになるといいね」 愛子は深く事情を知らなくても、的を得ているようだ。 「眞一郎の踊りはどうやったら見れるの?」 乃絵の積極性に愛子は深く頷く。 「私と一緒に行けば前列で見られるわ。 そのために踊り場でお世話をしていたのだから」 愛子の微笑には苦悩が含まれている。 眞一郎の晴れ舞台を見るのを望んでいたのだろう。 彼女として。 * 合鍵とキスに続いて振袖だ。 比呂美は外堀を埋める作戦を企てた。 振袖でめかし込めば仲上家の娘というよりも、眞一郎の嫁として認識される。 明確に一言で述べられる関係でなくても、人々の野次に肯定も否定もしない。 ただ頬を染めて、たまに眞一郎の様子を窺う。 それだけでも周囲は公認してくれるのだ。 ここまですれば眞一郎がちゃんとしてくれるはず。 比呂美にはこれ以上は何もできない。 さすがに既成事実まで作ろうとは思っていない。 今までは乃絵との勝負とばかり考えていた。 水面下では愛子とも戦っていたのを知らされた。 眞一郎は三人の女性に求愛されていて、誰かひとりを選べなくなっている。 三代吉との会話で考えを改められたとは思えない。 比呂美も同意しそうになりつつある。 でも誰もが避け合ってしまえば、誰もが幸せになれない。 愛子は眞一郎から決別して三代吉を選んだ。 純は比呂美の言葉で乃絵を選んだ。 今はそうしていても他の女性と接するようになるかもしれない。 乃絵は……? 「比呂美ちゃん」 急に名前を呼ばれたので、音源のほうを向く。 愛子と乃絵という不可解な組み合わせ。 「よくわかりましたね」 振袖で、あまり会っていないから、他の人と区別できないはずだ。 「さっき私ひとりで仲上酒造のところに行ったからね。 すごい人だかりで覗いてから帰ったわ。 それにしても、きれいになったね、比呂美ちゃん」 愛子はずっと笑顔を絶やさなかった。 それに比べて乃絵は俯いたままだ。 「ありがとうございます。仲上の娘として手伝っていますから」 「そっか、これから一緒に眞一郎の麦端踊りを見ない?」 愛子の提案に比呂美と乃絵は口を開けてしまった。 昔から変わらずに突拍子もない発言をする。 比呂美と乃絵との対立を理解していないかもしれない。 「昨日、私は眞一郎に麦端踊りを見て欲しいと言われた」 乃絵は顔を上げていた。 比呂美に敵意はなく、誘いに乗ろうとしているようだ。 「ひとりやおばさんたちよりもいいかもしれません。 ご一緒しますね」 比呂美は引きつりながらも同意した。 このふたりを監視するという意図もあるし、まったく予想できないことをしそうだ。 「この組み合わせはありえるのか……?」 近づいて来た三代吉の表情は苦渋に満ちている。 「祭りなんだからみんなで楽しみましょう。 眞一郎だって探す手間が省けるし」 愛子は先に行って、複雑な心境の三人を誘う。 * 眞一郎は舞台に上がる。 観客席を見ると最前列に右から、三代吉、愛子、乃絵、比呂美の順に並んでいる。 どうすればこういう状況になるかがわからない。 四人ともどことなく表情は固くて緊張しているようだ。 他には両親や親しい知人たちがいる。 なぜこの舞台にいるのかを考える。 最初は嫌々ながらしていた。 仲上家の息子だから花形に選ばれただけだからだ。 日常で何か不満があると、発散するために踊ったこともあった。 だんだんとうまくなってゆき、楽しくなり始めた。 海岸で比呂美を踊り場に誘おうとしたが、乃絵の話をされて遮られていた。 乃絵が踊り場に勝手に来たこともあったが、二度目は自分で誘った。 愛子と乃絵は知り合いになり親しくなった。 そう考えると愛子は乃絵と比呂美も誘い、三代吉ともいようとしたのだろう。 誰のために踊ろうと考えると答えは出ない。 乃絵に合図を送るのはできない。 神聖な祭りを穢したくないからだ。 自分のためであり、みんなのために踊ろう。 今まで迷惑を掛けてきた反省を込めて。 踊り終えたときには、どうなっているか不安だが。 自分と真剣に向き合った結果を受け入れよう。 (完?) あとがき 踊りの最中に終わるということで、誰と結ばれるかがわかりにくくなりました。 踊り終えた後の眞一郎の様子や観客席の反応もです。 眞一郎は比呂美との仲を深めようとはするのですが、 今までの行動を振り返ってしまい、二の足を踏んでしまいます。 比呂美も同様でそばにいる愛子と乃絵に遠慮をしてしまうでしょう。 つまりすれ違うのではなくて、ふたりだけ幸福を享受できないのです。 それでも愛子と三代吉が補佐してくれて、乃絵も後押ししてくれるかもしれません。 振袖を着るという覚悟で眞一郎の嫁として周囲に認められようとも、 眞一郎が比呂美に告白してくれるまで待ってしまいそうです。 この後にも祭りが続くのですが、五人で遊びに行きそうです。 告白するなら、両方の絵本を完成させた後日になるかもしれません。 もちろん祭りの最中にふたりだけになるというイベントはありそうですが。 乃絵については複雑です。 涙を流すのがいつかでも悩みます。 眞一郎が飛ぶという踊りの後でも、ふたりの後押しをした後、 さらに五人で遊んでいるときとも考えられます。 前作では、乃絵が狭い世界から人と交流できる広い世界に飛んでいくべきと述べました。 それは愛子が導き手となり、恋敵であった比呂美とも親しくなる機会を与えてくれました。 愛子についてです。 意外ですが、愛子の交流範囲は広くて、朋与などの学校関係者以外は接点があります。 そのためのフラグを立ててきたと判断しまして、 踊り場に重要人物を集めるという大役を果たせました。 制作者が愛子をどう扱うかが楽しみです。 あらゆる人物に愛を注げるようになるという希望を込めました。 個人的には第十二話は愛子が大活躍する回と思っています。 ヒロインというのは眞一郎と結ばれるいう意味だけではありません。 三代吉についてです。 愛子から眞一郎とのキスを聞かされて、眞一郎に伝えます。 その場に比呂美まで登場しても、うろたえることなく対処させました。 愛子と同様にすべての罪を許してくれる偉大な存在になりました。 純についてです。 公式の画像ではバイク屋で作業着姿ということで祭りに参加させませんでした。 乃絵の自立のためにひとりで行かせました。 本当は乃絵と一緒にいたいでしょう。 比呂美は相手が悪かったので、他の女性と付き合えるようになって欲しいです。 仲上夫妻についてです。 もうふたりの交際を認めるしかありません。 眞一郎の自転車の疾走では、トラックの運転手から一部始終が伝わっているでしょう。 乃絵が踊り場にいたという事実があろうとも、ふたりの仲を温かく見守ってくれそうです。 さて第十三話への繋がりを意識した結果がこうなりました。 SSにはありませんが、本編には予告があります。 台詞や画像から想像する楽しみは残されています。 個人的には誰と結ばれるよりも、きれいにまとめてくれればと考えています。 今回は不遇な愛子の活躍に注目します。 乃絵の涙への布石が気になりますし、眞一郎がどう向き合うか、 比呂美が眞一郎との距離をどう置くかが興味があります。 比呂美には眞一郎を中心とするのではなく、 乃絵たちにも気配りができるようになって欲しいです。 乃絵は眞一郎の後押しの結果、比呂美に幸福をもたらすのですから。 愛子から学べるものがあれば、比呂美はさらに魅力的になるでしょう。 ご精読ありがとうございました。 第十二話の妄想 テレビでの予告 音声 Ⅰ 「きれいよ。あなたの涙」 乃絵。 乃絵との別れの場面で眞一郎が涙を流す。 絵本を読ませた後に、乃絵が地べたを掲げているときに。 しがみついて止めようとする眞一郎に対してだ。 Ⅱ 「本当だ、俺、何やってんだろ」 眞一郎。 これは難しい。 声が軽くて、どのような場面でも通じる。 自分が想定していなかったことに気づかされたときだろう。 花形の衣装を着付けていたが、どこかおかしい部分を指摘されたとき。 相手は比呂美であり、直してもらうかもしれない。 三代吉に振袖でいる比呂美が、仲上家に深く関わろうとしているのを知らされたとき。 踊りの最中でミスをしたとき。 絵本の誤字を指摘されたとき。 Ⅲ 「キスしてもいいか?」 純。 冗談のように声調には重みがない。 乃絵に自立を促すかのように言っている。 本当にキスをすることなく、断られそう。 あったとしても頬か額にだろう。 比呂美に対してでは、軽い冗談みたいなものだろう。 もう乃絵が好きなのに比呂美を利用していると悟られているので、強引にはしなさそう。 その場面を眞一郎に見られるという誤解はあるかもしれない。 純にとっては断られるのを承知で、比呂美との決別を意味する。 Ⅳ 「何も見てない私の瞳から…」 乃絵。 これも難しい。 声質は重苦しくて腹の底から出しているようだ。 よってそれなりの覚悟をしていると思われる。 何も見ていないということは、逆に何かを見ていたことを意味する。 眞一郎への好意を消して、別れの言葉を待っているようだ。 つまり瞳には地べたが何であるかを悟っていて、目で訴えようとしている。 眞一郎にわかってもらうためにしていて、答えは比呂美である。 純に対してでもありうるのだが、乃絵の中では眞一郎のほうが上だろう。 第五話でデートを応援する場面があったので、純はお兄ちゃんという想いしかない。 テレビでの予告 場面 A 地べたを飛ばす乃絵。 眞一郎が駆けつける前に実行しそうではある。 やはり絵本を読んだ後のほうが、演出として盛り上がるかもしれない。 よって地べたを掲げることで、絵本の新展開を眞一郎に考えさせるためかもしれない。 B 男たちが駆け寄って、振袖の比呂美が立ち上がる。 振袖の比呂美には誰もが注目してしまう。 お酒を振舞うので男たちには喜ばれるだろう。 顔を染めて歩いているには、 眞一郎母に眞一郎を呼びに行くように言われたからかもしれない。 立ち上がるときに手前にいて背を向けているのは、眞一郎母だろう。 そのときには比呂美と眞一郎との仲についての野次があるかもしれない。 C 山車が出る。 お祭の場面。 公式のあらすじの画像 左上から右に順番で 1 着物姿の眞一郎母が振り返っている。 眉に力が入っているので、何かを指摘されたのかもしれない。 踊りメンバーに、眞一郎が乃絵を踊り場に連れて来たことを教えられた。 てっきり眞一郎は比呂美が好きなものと思っていたのに違っていたと知らされた。 眞一郎母はふたりの仲を認めようとしていた矢先にだ。 2 真正面の乃絵。 難解。 表情が微妙で場所も不明。 背景にあるナヨは出店のようだ。 強引に愛子に話しかけられたとする。 眞一郎との仲を訊かれれば、答えにくいかもしれない。 祭で乃絵に親しくするのは、愛子しかいなくて、眞一郎と比呂美には距離を置かれる。 眞一郎の踊りを一緒に見に行こうと誘われるかもしれない。 3 麦端踊りをしている眞一郎。 舞台で真剣に麦端踊りをしている。 4 驚いている比呂美 いつものごとく口を開けている。 どことなくそんなに驚いているようには見えない。 愛子と乃絵に声を掛けられたのかもしれない。 それから三人に三代吉が加わって眞一郎の踊りを見に行く。 他には、 愛子が眞一郎にキスをしたのを知らされた。 乃絵が踊り場に来ていたのを知った。 純が祭りに来ていた。 5 花形姿の眞一郎と三代吉 眞一郎の右手には今川焼きがある。 どことなく親しく会話をしているようには思えない。 愛子が眞一郎にキスをしたことを知った三代吉が打ち明けているのかもしれない。 眞一郎と比呂美との関係を気にしていて相談をしているのだろう。 6 振袖の比呂美。 場所は比呂美の部屋か眞一郎母の部屋で着付けをした後であろう。 向かい合っているのは眞一郎母であるのが妥当であるが、眞一郎父も同席しているかも。 頬を染めているようなので、比呂美にとって喜ばしいことだろう。 比呂美母と似ているのを指摘されたのかもしれない。 眞一郎との関係を訊かれたり、仲上夫妻の馴れ初めや仲上家の生活を振り返っているかも。 7 乃絵と純。 純の服装がバイク屋のものであるので、場所はバイク屋かもしれない。 石動家では棚が大きくて、上には修理道具らしきものが乗っている。 乃絵は驚いているというか固まっているように見える。 祭に一人で行くように言われたのかもしれない。 他には、 交換条件について教えられたのか、Ⅲの「キスをしてもいいか?」と純に訊かれている。 8 複雑な顔の眞一郎。 肩が上がっていて不自然な姿勢である。 乃絵の家でのときにしていたニット帽とマフラーがない。 帰宅してから自転車に乗っているかもしれない。 理由として考えられるのは比呂美のアパートにだろう。 ただ疾走しているだけかもしれない。 あの自転車には籠がなかったが、片手で運転すれば雷轟丸の絵本を運べる。 前作 true tears SS第一弾 踊り場の若人衆 ttp //www.katsakuri.sakura.ne.jp/src/up30957.txt.html true tears SS第二弾 乃絵、襲来 「やっちゃった……」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4171.txt.html true tears SS第三弾 純の真心の想像力 比呂美逃避行前編 「あんた、愛されているぜ、かなり」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4286.txt.html true tears SS第四弾 眞一郎母の戸惑い 比呂美逃避行後編 「私なら十日あれば充分」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4308.txt.html true tears SS第五弾 眞一郎父の愛娘 比呂美逃避行番外編 「それ、俺だけがやらねばならないのか?」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4336.txt.html true tears SS第六弾 比呂美の眞一郎部屋訪問 「私がそうしたいだけだから」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4366.txt.html true tears SS第七弾 比呂美の停学 前編 仲上家 「俺も決めたから」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4403.txt.html true tears SS第八弾 比呂美の停学 中編 眞一郎帰宅 「それ以上は言わないで」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4428.txt.html true tears SS第十弾 比呂美の停学 後後編 眞一郎とのすれ違い 「全部ちゃんとするから」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4464.txt.html true tears SS第十一弾 ふたりの竹林の先には 「やっと見つけてくれたね」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4523.txt.html true tears SS第十二弾 明るい場所に 「まずはメガネの話をしよう」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4585.txt.html true tears SS第十三弾 第十一話の妄想 前編 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4598.txt.html 「会わないか?」「あなたが好きなのは私じゃない」 「絶対、わざとよ、ひどいよ」 true tears SS第十四弾 第十一話の妄想 後編 「やっぱり私、お前の気持ちがわからないわ」 「うちに来ない?」(予想) ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4624.txt.html true tears SS第十五弾 眞一郎の比呂美の部屋深夜訪問 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4688.txt.html true tears SS第十六弾 第十二話の妄想 前編 「きれいよ、あなたの涙」「何も見てない私の瞳から…」 「キスしてもいいか?」 ttp //www7.axfc.net/uploader/93/so/File_4773.txt.html
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そのときはまだ知らなかった。アンコウの抱えているものも、背後に背負う大きなものも。何も見えてはいなかった。 笑顔をのりで顔に貼り付けたようなおばさんがアンコウにトレーを渡した。その上には零れかかっているコーヒーと、色の濃いオレンジジュースが行儀悪く乗っている。 「喫煙席いこっか。俺煙嫌いなんだけど。」 あたしは一も二もなくうなずいた。 アンコウはがらんとあいた店内の一番隅の席に座った。あたしはその向かいに腰を下ろした。 「さい、間違っても大人になって煙草をスパスパ吸うような女にはなるなよー?俺そういうのマジ嫌いだから。」 「うんわかった、覚えておくよ。」 そういいながら、あたしはちらりと視線をテーブルの横にずらした。あたしたちの座ろうとしている席の隣では、若い女の人が喫煙ゾーンだというのに遠慮なく煙草をすっていた。 その人は、容姿の整ったアンコウの言葉を聞くと即座に煙草を口からとって、媚びるような目線を彼に送った。 こういう女はいやだ、と思った。男に媚びるようなことしかしない。それでいて普通に人に迷惑はかける。そんな人になるまいと硬く心に決めた。 前へ 次へ
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コードギアス 反逆のルルーシュ エロstage2 http //sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1166181990/ 種別/SS創作 分類/作品単独 検索ワード/ 保管庫 コードギアスSS保管庫 過去スレ コードギアス 反逆のルルーシュ エロstage1
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メガラニカ王国東部、鉱石が古来より多く採掘され王国の製鉄の基幹を担ってきた地方であり王国の中でも中央部にある王都と並んで重要拠点の1つだ。 その東部の中でも最大の都は、レバン子爵領アリンクスと言い人口五十万と王国でも第二位の人口を誇る。 壊滅し東へと撤退したメガラニカ王国北領征伐軍残党の多くはこの街を目指して、移動をし続けた。 しかし、士気の低い者・農民からの徴兵で組み込まれた者等は脱走したり賊へと合流する者も続出し、アリンクスへと辿り着いた残党は一万と少し。 西部・中央へと脱出した部隊も居り、東部に辿り着いたこの残党部隊も含めるとそれなりの数を帝國は撃ち漏らしたことになる。 だが、残党軍の問題は兵数だけでは無かった。 「あの攻撃の後、兵士達の多くが目に見えて戦闘に対し消極的になりました。今後の戦闘にも支障が…」 「分かっている、私ももう一度あの攻撃の中を走れるかと言われたら御免だ」 残党軍の暫定指揮官、オーフェン大佐が部下からの報告を聞き深く悩む。 「いかがいたしますか?」 「先程、王都から連絡が来た。王都から東部にかけての防衛線の再構築と増援が来る」 「では、我々はここで籠城ですか?」 部下の言葉にオーフェン大佐は首を振る。 「そういう事になる、子爵からは食糧の心配は無いとすでに聞いているからな」 「レバン子爵の部隊との兼ね合いは…」 「本来なら我々が卿の指揮下に入る所だが、独自に行動する」 大佐はそう言うと弩を手に持った。 「見張りは交代でやらせろ。戦意が落ちてもそれ位は出来るだろう」 「了解しました」 指示を受け部下が退室するのを見届けると大佐は呟く。 「初戦とは逆だな、守る我らと攻める帝國か」 遠距離からの射撃で削るか? いや、最初のあの長距離攻撃がもし魔術師がやったものだとすれば同じことの繰り返しだ。しかも、次は確実に市民達にも被害が出る。 ならばいっその事野戦で戦うか? 馬鹿な、それもあの『死の行軍』の再現だ。 次は間違いなく皆殺しになる。 「さて、どうした物か…」 なんなら投降でもするか? …それが一番してはいけない選択肢だ。 徴兵された農民・市民なら投降する事になっても御咎めはないだろうが、佐官・士官の貴族はそうもいかない。 戦わずして投降するなどそれこそ貴族の名折れ。 『名誉』で食っていく貴族に取って致命的だ。 結局、援軍の到着後に挟み撃ちの形を取るしかない。 …それも自分達があの攻撃に耐えきり、援軍が間に合えばの話だが。 バチンと自分の頬を叩くと気合を入れなおす。 指揮官の自分が何を弱気になっているのだ? 只でさえ兵の士気が下がっているのだ、こんな姿ではまた脱走が出てしまう。 ふと窓から外を見ると、門が開き馬に乗った兵士が二人出て行くのが見えた。 恐らくは増援との連絡にレバン子爵が出したのだろう。 「あの二人が無事に任務を達成してくれれば…」 自分達の勝ちの目も出てくる。 大佐は二人の無事を祈らずにはいられなかった。 しかし自分の指示で出した兵でもないのにそう判断したのは、列強・メガラニカ陸軍佐官としてキャリアを積み上げてきた身としては些か不用心だったと後に大佐は後悔することになる。 物資の荷揚げに手間取った帝國も、作業が終了し進軍を始めていた。 敗残兵らが三方向へと撤退するのを航空機による偵察で確認された後、第一目標として設定されたのは一番近く、また多くの兵が撤退した主目標東部への進軍だ。 中世レベルの文明と説明を受けていたが以外にも、道は整備され歩きやすい道だった。 ―流石は『列強』の国力と言うべきか。 アスファルトで舗装とまではいかずともきちんとした工事が行われ多くの人・馬車が通るのを想定した作りになっているのが分かる。 これなら普通に行軍しても大丈夫だろう。 いままでに他国で通ってきた道が獣道や整備されきってない道だっただけにその違いは有りがたい。 事実、行軍速度は緩まずに来れた。 流石に十万人全員で進軍と言う訳にも行かず、兵の殆どはウィザール王国にて待機し現在は一万の軍での進軍となった。 初戦で大部隊を撃破したからかさしたる障害もなく進軍は進み、純朴な景色が流れ続け帝國の田舎にいるのかと思うようになってきた。 川を流れる水は清らかで川魚も多く泳いでいるのが見られるし、麦畑で働く村人の姿も多い。 「攻略目標の街はどうなっている?」 山下中将の質問に参謀の一人が答える。 「ここから約十キロ地点に有り、防衛戦力は撤退した部隊を含めると1万5千程と思われます。」 「野砲は使えん以上、包囲する事になるが気を引きしめていけ」 行軍速度を重視して足の遅い野砲等を置いてきたが、包囲を仕掛けると敵がまだ戦力に余裕がある以上被害がでるだろう。 今後の東部地域の平定や北部を含めた防衛を考えると許容範囲の内で収めたい。 包囲を続けていれば勝てるだろうが、時間を食うし敵の増援が来るだろう。 もしかしたら、破れかぶれになった城兵が突撃してくるかもしれない。 投降を呼びかけても良いが応じるかどうか確実ではない。 帝國の勢力圏の拡大と利益の確保の為には、この地域の住民の感情も考えなければならない。 「さて、どうした物か」 やはり突入するべきか、いや包囲するか。 山下中将らの議案は今しばらく纏まりそうにない。 「親父殿、北領での大敗はもうお聞きになられましたか?」 赤い髪の青年騎士が父と呼んだ男は顔を上げる。 「ああ、派遣した軍の大半がやられたそうだな」 「ええ、それでアリンクスに住む友人の魔術師から長距離連絡用のクリスタルを通じて連絡がありましてね。残党が街に駆け込んできたそうです」 「ふむ、まあかなりの数だったんだそれなりに生き残りは出ろうよ」 男の隣に座っていた、もう一人の青年がそれに答える。 「それでヴラド、何が言いたいんだ?」 「なあ兄者よ、現状我々南部諸侯の担当戦線は平和なもんだ一つ部隊が無い位どうとでも支えるだろう?」 ヴラドと呼ばれた赤い髪の青年騎士は、ニヤリと口の端を歪めた。 「…要は行かせろと言う事か」 「流石は親父殿、話が早くて助かります」 ヴラドの父、ヴァレンタイン伯爵は目を瞑り考える。 「親父殿、私は賛成ですよ」 ヴラドの助け舟は兄、ミハイからだった。 「…訳を聞こう」 「単純に中央と東部の連中に恩を売りたいのですよ、東部は鉱山資源が豊富だ。恩を売って利権に一枚噛みたい」 ミハイはくつくつと声を押し殺した笑いを上げる。 「ヴラド、お前はどうしてだ?」 「俺はただ単純に武勲が欲しいのですよ」 それと友人を迎えにね、と軽い口調で話す。 「良かろう、お前の穴は他の諸侯と共に埋める。直轄の飛竜隊と共に行け」 「有りがたき幸せ。では、行って参ります」 ヴラドは椅子から立ち上がり、部屋を出る。 玄関を抜け屋敷から出ると、ヴァレンタイン家から独立した際からの付き合いである古参の従士と合流する。 「御館様、大殿様は何と?」 「親父殿と、兄者のお墨付きを貰ったよ。出発だ」 「全員、準備は整っております」 「よろしい、では号令でもかけるか」 ヴラドは従士を伴い、街の外にて待機していた配下の飛竜隊を見つめる。 赤飛竜と呼ばれる、ワイバーンロードのさらに上位種ワイバーンオーバーロード。 そして共に幾つ物の死線を潜り抜けてきた部下の赤い鎧を着た竜騎士達。 その自身の配下達へと、ヴラドは号令を掛ける。 「大殿様より、許可を賜った!『クリムゾン・ドラグーンズ』出撃!」 ヴラドの号令に答え、人も竜も雄たけびを上げる。 自らの武を表明するかのごとし、その声は響き渡る。 「さあアリンクスへ行くぞ!中央の弱兵共を笑ってやれ!」 飛竜達の翼が広がる。